この連載では、先が見えない「暗闇プロジェクト」を任された場合に参考になりそうなヒントやノウハウを紹介している。今回からしばらく、プロジェクトの最初期の段階である準備・構想段階での心得を見ていくことにする。
プロジェクトを立ち上げる段階で、多くの関係者は「どうせダメに決まってる」と冷たい視線を浴びせる。ここからいかにプロジェクトを立ち上げていけばよいのか。今回と次回で五つのセオリーを紹介しよう。
セオリー1
プロジェクトが支離滅裂でも慌てない
システム開発の多くは「森の中のけもの道を歩く」ようなものだ。アブやヒルに刺されるくらいは当たり前。当初の計画通りに進まないというのは日常茶飯事である。
ゴールにたどり着いたなら、まずは成功と呼べる。計画した期間や予算内にゴールできたのであれば大大成功である。
そこに個別・具体的なノウハウは存在しない。PMBOKのような「サバイバルマニュアル」がある程度だが、サバイバルマニュアルに従ったからといって、ゴールにたどり着ける保証は全くない。状況に合わせて、臨機応変に使い方を変えていく必要がある。
ゴールに至る道は書かれていない
通常のプロジェクトでさえこのような状況なのだから、「暗闇」はより困難が伴う。けもの道すらなく、誰も通ったことのない道を切り開いていかなければならない。当然、マニュアルなど存在しない。
例えるなら未踏峰へのチャレンジかもしれないが、筆者は違和感を覚える。未踏峰であっても、頂上に至るまでのルートは計算できるからだ。むしろ、大航海時代の冒険家たちによる挑戦の方が、イメージは近いように感じる。計画策定や実行の際に頼るべきものは何もない(図1)。